■World

物語のバックグラウンドとなる世界観や用語を紹介します。

 ■水属性と土属性

 土は水を吸う――という事柄から、水は土に弱いとされる。

 しかし、現実でも大水が土砂崩れや鉄砲水などの大きな災害を引き起こすことは往々にしてある。

 

 前項の火と水の関係性と等しく、あくまで量的な問題(物理的な分量から魔力の優劣まで)を鑑みれば、やはり相性は絶対なものではない。

 こと、水は流動的な性質を持ち、山の湧き水が川へ、川が強大な水量を持つ滝へと変化していくように、水は互いに集まりやすい、という性質を伴う。火ほどに瞬間的なものではないが(逆に火は燃焼するものがなくなれば燃え続けることができないため、あくまで瞬間的なエネルギーの増大がメインであるともいえる)、水もまた、その分量で性質的に有利な土属性を上回ることがあるのだ(逆に、土は安定を主とし、急激にその質量を増やすことはない為、そういった水の流動的な部分には対処しきれないものがある)。

 

 また、精霊的な関係性においても、水は性質上、「濁る」ことを多分に嫌うため、土を苦手とする部分も強いようだ。

 あまり水属性の肩を持っていても可哀想なので、本来は水に勝る土の属性にも触れよう。

 土は安定性を最大の長所とする。ひとたび築かれた土壁、岩壁はそれだけでも強固で堅牢なものだが、土は水や火、風など他の属性のような柔軟性には乏しいものの、与えられた環境や物理的(もしくは魔法的なものも含むが)な反応により、静かにそれでも確実にその性質を変化させる。

土は火を加え風に干されればその硬さを増すであろうし、水を加えれば柔らかくしなやかな素材にもなり得る。

 

 他の属性は、水がせいぜい温度によって氷と化して硬度を増す程度のものであることに比べ、土の持つ柔軟性は類を見ない。

 先に述べた水の圧倒的な奔流であろうとも、固く、高く盛り上げられた堤防はそれを易々と防ぎきることもできるだろう。

 やはり、ここにおいても魔法の能力を引き出すのは術者自身の能力にかかってくる、と言えるだろう。